Vestige
2025 Collection

Designed by Kensaku Oshiro

19 世紀半ばにトーネットがブナ材を蒸気で曲げる技術を発明したことで、史上初めて家具が量産されるようになりました。日本では今から 100 年以上も前の 1910 年に良質なブナ材が豊富であった東方地方に曲木技術を導入した工場が設立されました。湯気が立ち上がる工場では、曲木工法によって職人が一脚一脚を丁寧に仕上げていきます。部材を蒸気で曲げた後に南京カンナと呼ばれるカンナで滑らかに仕上げていく工程は、カンナを引くたびに現れるランダムな凸凹の陰翳がなんとも言えない美しさを作り出します。合理的生産性の追求から生まれた曲木の技術ですが、精度やボリュームを求めるのではなく、途中工程で表れる手仕事の痕跡をあえて残す事で完成されたプロダクトとは異なる価値を生み出したいと考えました。身体をすっぽり包み込むシェルデザイン。抑揚のあるフレームと手仕事から生まれる優しい木の風合い。私たちの生活にそっと寄り添ってくれるこの曲木椅子は、過去の技術と現代の思考が混じり合い、時を紡ぐ新しいカタチとなりました。

Materials

オーク
チャコールグレー
オーク
ソープ

籠目編み