北川 大輔

「手を掛けて、手の痕跡を消す」

北川氏がこれまで手掛けてきたプロダクトにはこの言葉が集約されていると思う。手の中に納まる電化製品から空間を形づくる家具に至るまで、どのプロダクトにも共通するのは、極限まで研ぎ澄まされたデザインと凛とした佇まいである。その姿は一見、人の介在を感じさせない工業的な空気をまとっている。入念なリサーチによって組み立てられた仮説をもとに、そのプロダクトに適した素材や構造を検証し、クライアントの要望を汲み取った上で、新しいアプローチで打ち返す。しかし、それぞれのプロダクトの成り立ちや製造プロセスを紐解くと、北川氏のデザインへの情熱とそれに呼応した作り手の技術と創意工夫という多くの人の手が交錯していることがよく分かる。

furniture design by Daisuke Kitagawa

low table / side table