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建築家 隈研吾氏が東京・南青山にある根津美術館の改築設計を担うことになりました。当社の店舗であるタイムアンドスタイルエグジステンス(当時/現:ハウスストレージ)は根津美術館の横にあり、隣の根津美術館の改築を隈氏が担当するのであれば、当社に家具を製作させてほしいという一念で、隈氏の事務所の担当者の方や根津美術館の方々にお願いをして実現した椅子です。これをきっかけに、隈氏との関係は時間と共に深まってゆき、その後は数多くの建築プロジェクトの家具製作の依頼をいただくようになりました。

隈氏のデザインした根津美術館の椅子は簡潔そのものでした。フラットで薄い座面に緩やかに円弧を描く背もたれが付き、薄い座面から視覚的にも繊細に見えるように内側を面取りした細い4本の脚がスッと伸びています。この椅子を木工で製作するには座面が薄過ぎて構造的に非常に厳しかったのですが、木工だけで作らなければ、この意匠をこの構成で作る意味がありません。実現するためには見えない仕口の構造で強度を確保する方法しか残されていませんでした。如何にして木工技術だけで強度を確保できるかを、工場と共に思索し何度も試作を繰り返し、ようやく根津美術館の椅子が完成しました。

一見、何の特徴も無いようなシンプルな椅子も隈氏の建築空間の中に収まると何故かとてもカッコ良く見えるのです。この椅子は隈氏の建築の一部であり、家具と空間が調和するということを身を持って実感させてくれました。建築家がデザインした椅子の名作は数多く存在していますが、やはりその建築家による建築空間でその椅子を感じて見たいものです。何事にも脈絡が存在することに改めて気付かされた出来事であり、隈氏の建築を近くで感じた椅子でした。
品番: KK-N01
サイズ: W420×D510×H830×SH450
背・座:
ファブリック張り(F) / レザー張り(L)

Special edition
ブナ:クリア / ファブリック:6700-1
ブナ:グレー / ファブリック:5778
Designer:Kengo Kuma