The bent armchair

曲木の技術は、1840年頃にドイツ人のミヒャエル・トーネットによって発明されました。トーネットの曲木椅子は世界で最も売れた椅子として、世界中のカフェやレストランなどで誰もが目にしたことのある椅子です。曲木は、圧力を掛けて変形したものは元には戻らない木の特性を活かした工法です。無垢材を煮沸し、金型に添って成形させて美しい曲線を作ります。

日本に曲木の技術が伝わったのは、今から100 年以上前です。美しい成形に欠かせない金型治具は、熟練の職人によって寸分の狂いもなく手作業で調整され、作られています。成形は、無垢材を 100°C近い蒸気で長時間蒸し、充分に水分を含ませてから治具に合わせて曲げていきます。

曲木技術を用いてチェアを製作するにあたり、歴史を継承した上で、現代のスタンダードとなるデザインをコンセプトとしました。The bent armchair は、手加工による昔ながらの工法が今も受け継がれている、立体的な曲木を専門とした日本唯一の工場で作られています。フレーム構成はこれまでの曲木椅子を踏襲しながら、後脚とアームにストレートな形状を残すことでモダンな洗練さを添え、貫をU字で前脚に差し込んで軽やかさを出しています。アーム部は限界値まで曲げ加工を施し、手に馴染む美しい曲線を追求しました。座った時、腕を置き、自然とアームのカーブに添って手が馴染むラインを作りました。背もたれのラタンは、繊細さと親しみやすさを与える意匠と身体をしなやかに優しく受け止める快適性を高めています。

モダンとクラシックが共存した、タイムアンドスタイルが考える曲木椅子は、手間を惜しまない作り手の製品づくりへのこだわりが形になり、独自のデザイン言語による曲木椅子が完成しました。世界中で多くの曲木椅子が今でも愛されているように、The bent armchair が幅広い世代に渡って、生活の中で親しまれていくことを願います。