Takaoka

Takaokaはその名のとおり富山県高岡市の鋳物技術を生かして作った真鍮脚のテーブルです。私たちはこれまでにも金属の鋳物で部分的なパーツを作ってはいましたが、大型テーブルの脚全体を鋳物で製作するのは初めての試みでした。高岡鋳物の歴史の中でも家具製品として最も大きなサイズの品物になったのではと思います。

砂型の真鍮鋳物を製作するには大型の原型や鋳型が必要になり、膨大な初期投資がかかります。また、プロダクトとして成立させるための精度も重要な課題でした。高岡鋳物の主要産出品である仏具や仏像なども造形的な装飾などの複雑さはありますが、家具においては、製品としての精度に加え接合のための精度など、それまでの鋳物製品とは違った要素が求められます。また、真鍮は他の金属と比べ比重が重く、スチールよりも柔らかい金属であるため、移動させることができる置き家具としての重量や、しなりや曲げ強度などについても注意しなければなりませんでした。そのようないくつもの難題をクリアしながら、真鍮という金色に輝く金属をどのようなデザインに生かすことができるかを追求しました。高岡という伝統的な鋳物産業が継承されている土地の名前を冠する製品に相応しい、日本的な佇まいでありながらこれまでにない印象を生み出すことが必要でした。

製作にあたり、鋳物メーカーの若社長が賛同してくれ、また高岡の産業の青年団の皆さんや型屋の若社長の協力を得て、激論を交わしながらも着実にものづくりが前に進んで行きました。新しい物を生み出すことができたのは伝統をしっかりと受け継いでいる人々が存在するからです。まさに地域に根付く産業と私たちの発想が融合して生まれた、新たな伝統の継承と創造だと感じています。

Takaokaは私たちのものづくりの新たな扉を開いた記念すべきプロダクトです。この真鍮鋳物のプロダクトが出来なければ、現在製作しているロストワックス製法でのキャビネットやソファの金属鋳物のパーツやブロンズで製作している他の製品も生まれませんでした。そのような私たちにとって記念碑的なプロダクトですが、高岡の鋳物産業にとっても同様に、新たなきっかけを生んだ製品であると思っています。製品を実現するためには、デザインをする側と製品を製造する側、そして、その製品を販売する側が乱れることなく方向性と考え方を共有することが必要です。そこから、お互いの強い想いによってそれぞれの製品に対するアイデアが出され、試行錯誤の上に製品が誕生してゆくのです。

Takaokaの真鍮鋳物の脚は支柱と3方向に分かれた脚先、左右の脚を繋ぐ床に接する貫、そして天板と脚を繋いで天板を支える支持パーツの4つの鋳物型を使用しています。砂型製法では、まずは金属の箱の中に特殊な固まりやすい砂を詰めてゆくのですが、その詰め具合の密度は経験値によるところが大きく、密度が高すぎても低すぎても、硬すぎても柔らかすぎても、正確で精度の高い製品は出来あがりません。また、溶解した金属を砂型に流し込む際にも、鋳込口といわれる開口部が適した位置に置かれていないと金属が変形する「引け」という現象を起こし、砂型の隅々にまで金属が行き渡りません。また、真鍮、銅、アルミニウム、鉄、それぞれによっても金属の特性や比重の違いを読み取ることが必要であり、全てにおいて職人の経験値が重要になってきます。

Takaokaの脚は重量のある厚い無垢の木天板を支えるために支柱を太くとっています。また、脚と木天板を繋ぐ受け金具も真鍮の鋳物で作り、天板裏に溝を掘って、そこに正確に収めることで天板の反り留めの役割も果たすようにしました。脚先は3方向に突き出しているので、テーブル全体では6方向に支持しており、安定感をもたらしています。脚の意匠は角を丸く面取して、それぞれの四角の平面に膨らみを持たせて柔らかな表情と日本的な意匠を共存させました。また、厚い無垢の木天板も小口面を面取し、脚の意匠と繋がるディテールにしました。真鍮と木天板が時間と共に変色したり腐食したり互いに同調しながら変化して、テーブルに時間を刻んでゆきます。20年後、50年後、100年後の次の世代に引き継がれた時に、唯一無二の美しい佇まいを生んでいることを想像しながら。

品番: T-371 / T-372 / T-373 / T-374 / T-375 / T-376 / T-377
サイズ: W2400×D1000×H720 ~ W3600×D1000×H720
天板:
脚:真鍮