The bronze oval pillar table

富山県高岡市の金属鋳造の工場を訪れた時、真っ赤に溶けたブロンズを砂型に流し込む作業の真っ最中でした。活火山の火口のようにブクブクと音を立て、ドロドロに溶解したオレンジ色のブロンズを杓子ですくい砂型の鋳込口に流し込むところでした。溶けた金属を流し込んでゆくその作業は熱と金属との闘いのようにも見えました。静かで薄暗い工場の中は金属が溶けた独特の匂いが漂い、慣れない人間にとってその場所は息をするのもやっとだったことを覚えています。

数時間後、まだ熱を帯びている金属の箱に納められた砂型を壊すと、中から砂がこびり付いた状態で固まった金属の塊が現れました。砂からはモクモクと熱を帯びた水蒸気が容赦なく職人たちの顔に向かって立ち上がっていました。

その工場では大きなブロンズの銅像や著名な彫刻家の作品、金属の看板まで、様々なものが鋳造されています。モノが生まれる現場を見ることで自分たちが作りたいものの発想が生まれることがよくありますが、この鋳造技術を家具づくりに活かすことができるならば、きっとこれまでにないような美しい金属を使った製品ができるはずだと考えました。ブロンズはアルミなどの軽金属よりも比重が大きく、小さなサイズでも全体の重量が重くなります。その特徴を活かして、小さな脚で大きな天板を支えるテーブルのベースを作ることを発案しました。

テーブルの中央で全体を支持する1本の脚にすることで、どこからでもストレスなく自由な場所に座ることが出来るテーブルを作ることができます。そんなテーブルを実現させるためにどのような形状の支柱とベース、そして天板を支える受け皿が必要かを思案しました。丸い大きな木天板や四角い木天板にも使えるように、支柱とベースでしっかりと天板を支えることが必要になってきます。また、意匠的にも金属の硬さを和らげるような柔らかさが必要だと考え、支柱は楕円形としてベースも柔らかさを意識した形状にしました。さらに、支柱はしっかりと天板を支えながらもできるだけ小さなサイズにしたいと考えました。支柱を楕円形にすることで見る角度や視点で太さや表情が変わるように意匠的とし、ベースはスクエアとラウンドの中間のニュアンスになるような形状とすることで、丸い天板から四角い天板まで幅広く対応できる形状としました。

鋳造したブロンズは砂型の鋳肌がゴツゴツと残っているので、最後に手作業で研磨をして表面を美しく仕上げるのですが、重量のあるブロンズを持ち上げながら研磨してゆくこの作業は熟練した職人でも力と技術の両方が必要とされます。多くのプロセスと職人たちの熟練技によって、どこからでも座ることができるこれまでにない新しい在り方のブロンズの1本脚のテーブルが出来上がりました。

品番: T-613 / T-612 / T-621
サイズ: φ1200×H740 / φ1500×H740 / W2000×D1000×H740
天板:
脚:ブロンズ