Drop casting bronze table

私たちはこれまで家具の世界では使われることがなかった日本の鋳物技術を使い、その特徴である自由な造形性を生かして、鋳物が持つ魅力を反映させた家具づくりに挑んでいますが、このテーブルはその考えを最も象徴的に表したプロダクトだと言えます。

強い印象を与える脚部はブロンズを鋳造し、表面には縦方向にヘアラインを施し、艶を抑え、素材が持つ重厚感を存分に表現しました。一体の彫刻に力が宿るような力強さを持ちながら、有機的なラインで繊細さも共存させました。

鋳造は1,200~1,300度に溶解したブロンズを型に注ぎ、自然に温度が下がるのを待ちます。温度が下がり、金属が固まったら砂型をハンマーで壊して中の鋳物を取り出し、バリと呼ばれる突起物などを丁寧に削り取り、表面を研磨します。この全ての工程は手作業で行われます。これほどまでに大きな鋳物を手作りすることは大きな危険も伴いますが、ブロンズという1つの素材だけで、有機的な造形物を形づくることができるのは鋳物技術だからこそ可能にしています。

天板はナラ材の鉄水仕上げとしました。オーク材に含まれるタンニンに鉄分を含む水を塗布すると、鉄とタンニンが反応して黒色化します。これは日本に古くから伝承されている染色技法で、自然素材の特徴による反応を生かした、深みのある墨色の仕上げ方法です。

時間の経過とともに、ブロンズは酸化して黒ずみ、緑青が現れ、鉄水仕上げの天板と一体となるかのような姿へ変わっていきます。完成したばかりの仏像や仏具が光を放つ姿も優雅ですが、永い時間とともに黒色化して美しい強さを秘める姿にも似ています。日本人は朽ちていく様や移りゆく姿の儚さに美しさを感じ、尊い価値を見出す感性を持つのは、変わることに抗うことなく自然に受け入れる精神性によるのだと思います。

 
2021年春、発売予定
品番: T-731
サイズ: ø1800 x H737
天板:
脚:ブロンズ サテン仕上げ / 黒染