Purple Rain

透明のカラーアクリル板を加工して、ドロワーのタワーを製作した。A4サイズのトレーが二列に並んだタイプと、A3サイズのトレー一列のシンプルなタイプの二種類の展開とし、色はパープルとグリーンに限定した。まず厚さ五ミリの定尺の板を効率的に配分して部材を切り出す。一見すると同じ厚みの板を単純に組み上げているだけのようだが、棚板には薄く溝を彫って、トレーが側板に当たらずに真っ直ぐに引き出せるような配慮を施してある。ドロワーとしての機能性を高め、より完成度の高い製品を目指した。もちろん書類を収納するためのドロワーではあるが、Purple Rainは、収納という機能よりもその美しい存在感に重きを置いてデザインしている。

接合部の隅々まで全て透けて見えるため、接着の仕上がり精度がこの製品の存在としての美しさを決定づける。隙間なく仕上げるためにはまず正確な寸法で部材を切り出すことが重要だ。本体ひとつで数十もの接着箇所があるため、ほんのわずかな違いが大きな誤差を生む。一枚一枚精度を確かめながら慎重に接着をしてゆく。一度接着をしたらもうやり直しは効かない。このような細やかで丁寧でシビアな仕事ができるのが日本人によるものづくりの最大の良さだと考えている。繊細な手仕事の集積によって無二の佇まいが生まれ、ひとつの美しいオブジェとして空間の中で存在感を放つのだ。

パープルとグリーンの二色は、少し冷たいような憂いを含んだようなニュアンスを求めて選択した。シックなトーンの空間に詩的な風景を生み出す、静かで強い存在の色の塊をイメージしている。

  

品番: C-891P / C-891G /C-892P / C-892G
サイズ: W545×D345×H1100
本体:
アクリル – パープル / グリーン