Moon
Time & Style ēdition

近代の日本の住居において、最も多く使われてきた家具が「座卓」という高さの低いテーブルです。床に敷かれた畳の上に直に座る日本人の生活に、座卓は欠かせないものでした。日本の座卓のデザインには中国の明朝の影響を受けたものが多く見られます。それは盆栽や生花をしつらえるための高台が明朝の家具の様式に由来するからだと言えます。盆栽も元々は中国から伝来したものですが、時代が経過し日本で独自の盆栽文化が開花しました。日本に伝来してきた多くの外来文化は、そのほとんどが日本独自の形式へと進化を遂げています。

日本家屋には「座敷」と呼ばれる畳を敷き詰めた客人をもてなすための大きな部屋があり、その中央には座卓が置かれていました。座敷には床よりも1段高く作られた床の間という小さな空間が設けられています。床の間とは花を活けて掛け軸を掛け、季節のしつらえで客人をもてなす、日本家屋独特の空間です。主人が趣向を凝らし、季節や歳時にまつわる植物や品ものを飾って客人を迎え、客人はそのしつらえから主人の感性を読み解きます。現代の日本の住まいはそのほとんどが西洋式のスタイルに変わり、座敷の位置付けはソファが置かれるリビングルームへと移り変わってゆきました。それは近年まで続いていた日本の古典的な客間として存在した座敷の名残が現在でも感覚的に続いているからかもしれません。現代の日本の住居には1部屋だけ古典的な畳の部屋が残されていることがありますが、それは日本人が客人を迎えるための部屋と言っていいかもしれません。

Moonはモダンな存在感の中に優しい木の表情と触感を感じることのできるローテーブルです。日本家屋の座卓としても現代的な柔らかい表情の家具と言えます。

Peter Zumthor collection

side table