bisque

bisqueという名のペンダント照明を東京都江戸川区の「へら絞り」の技術で金属を成型する工場で製作しています。「へら絞り」とは金属の平板を回転させながら、金型を土台にしてへらと呼ばれる棒で職人が力を入れて金属板を金型に押し当てながら同心円の立体物に成型してゆく、手づくりの金属加工技術です。宇宙開発のロケットの先端部やパラボラアンテナなどの様々な分野でへら絞りの技術が使われています。一つひとつ手加工のため大量生産には向きませんが、複雑な形状も職人の手によって成形することができる技術です。

bisqueは英語で「素焼の陶磁器」という意味があります。へら絞りをしたアルミの本体は白い素焼の陶磁器を思わせる肌合いにしたいと思い、塗装職人によって、薄くて軽いアルミの素地を吹き付け塗装で仕上げてもらいました。1.2~1.5ミリの薄いアルミの板を成型することで、ペンダント照明としての軽量化が実現し、最大サイズでも家庭用のシーリング金具で充分可能な重量になりました。私たちが製品を作る時、始めに形やデザインから入ることはほとんどありません。ほとんどがものづくりとの出会いがきっかけとなり、製品づくりが始まります。

初めてこのへら絞りの工場を友人の紹介で訪れたところ、そこでは沢山の金型によって様々な製品が作られていました。工業用の排水管のパーツや駅にあるような大きな時計のフレーム、橋や寺社の欄干にあるブロンズの擬宝珠などがありました。その中でも私たちの目に留まったのが、ブロンズやアルミでできたクラシックのオーケストラで使うティンパニーと言う打楽器の大きな本体でした。このティンパニーの金型を使用してペンダント照明ができないか相談し、まずは試作に入りました。このサイズの大きな金属板を鉢状に加工できる職人はこの工場でも体力があり、経験値の高い40代の1人の職人しか加工できません。最も難しいのはペンダントの先端の細く尖った部分の加工で、僅かな力加減で歪みが出ないように力の入れ方を細かく変えながら成形していきます。特にブロンズやステンレスの金属はそれぞれ硬さと重さに違いがあるため、同じ形であっても加工する力加減と使うエネルギーが違ってきます。大きな銅板を深く絞るには、テコの原理に加えて技術の正確性と全身のバランスをヘラの先端に伝えて加工する技術が必要になります。当初はティンパニーの原型をそのまま利用して、ブロンズとアルミの2種類のペンダントを製作しました。

ブロンズは内側をブロンズそのままの表情を残し、外側をグレー色で塗装、アルミは外側を鏡面ブラックと鏡面ホワイトの2種類で塗装して、ティンパニーの形のままで試作して、展示してみたのですが、何かが違うと感じていました。金型の原型をオリジナルで製作すると、大きなものでは1型数百万円の初期投資が掛かります。思えば近年のものづくりの問題は初期投資の課題と販売数量のバランスでビジネスを成立させるために、物の本質はなおざりになり、形式的な効率とデザインという妄想が先行しています。効率と利益優先の世の中となった近年では、人々の日々の生活の中ではデザインもプロダクトも表面的な新しさやコンセプトが重視されてきました。そして、私たち自身も気づかないうちに物や人間の生活の本質を見失いかけていたのかもしれません。

ティンパニーの金型をそのままで使用することは、製品の進化とそのアイデンティティーにとって、私たちがこれまで作ってきたものづくりの考え方に反するために、ティンパニーの金型を使用しつつも、私たちのエッセンスを付加した製品本体の80%はティンパニーの金型から、残りの20%は私たちで金型を作り、組み合わせた形状の製品づくりを目標にしましたが、1つのコンプリートな製品を2つの金型で絞り、それを繋いで製品を一体に仕上げることが今回の最大のテーマを目指しました。でした。最終的に、全5サイズを用意したbisqueの中でも大型ペンダントは楽器のティンパニーの金型を活かし、他のサイズはオリジナル型で製作しています。へら絞りだけでなく、陶磁器や漆器の木地の轆轤、ガラスの宙吹きなど、日本の物の作り方には、轆轤や回転させて成型する考え方が古くから多用されていることが分かります。

品番: BIS-01 / BIS-02 / BIS-03 / BIS-04 / BIS-05
サイズ: φ250×H209 〜 φ777×H650
シェード:
アルミ ウレタン塗装 白 全ツヤ消 仕上
フレンジカバー:
スチール ウレタン塗装 白 全ツヤ消 仕上
コード:耐熱ソフトビニルコード 白 1.5m
プラグ:引掛シーリング 白
ランプ:別売