Yoshino Breath Armchair

日本の文化は、杉や檜と深く結びつきながら育まれてきました。建築や酒造、日用品に至るまで、暮らしのそばには常に木があり、人は用途に応じて樹齢や部位を選び、無駄なく使い切ってきました。奈良県吉野地方では、500年以上にわたり人の手で木を植え、100年、200年先を見据えて森林を育てる営みが、人の手による育林の思想と技術として、今も途切れることなく受け継がれています。

このラウンジチェアは、吉野で育った杉から生まれました。素材には、吉野杉の中でも特に木目が美しく、強度にも優れる赤柾ー芯に近い部分から現れる、緻密でまっすぐな木目の材ーを選び、無垢の厚板として使用しています。
杉は、束状に連なる細胞構造の中に多くの空気層を含んでいます。この構造が、確かな強度を保ちながら、しなやかで柔らかく、触れると温かく、そして軽いという特性を生み出します。ほのかに立ちのぼる香りや、肌に伝わるやさしい感触を、身体全体で味わうことができます。
構造は、金物を使わず、木材のみを「雇い枘(やといほぞ)組み」や「大入れ継ぎ」といった伝統的な技法によって組み上げました。素材の性質を素直に活かし、余計な要素を加えないことで、木そのものの存在感を引き立てています。

杉の美しさが空間の中で素直に感じられるよう、形はシンプルなキューブの構成としました。直線で構成された量感のある佇まいでありながら、材の持つ柔らかさと軽さが、どこか朗らかでやさしい表情を生み出します。和洋を問わず空間に溶け込み、穏やかな居場所をつくり出します。
吉野の職人が素材を見極め受け継がれてきた木工の技で丁寧に組み上げた、素材の良さが静かに伝わるラウンジチェアです。

Materials


ソープ