登大路ホテル 奈良

奈良県
設計:太田理加設計室
2022

世界遺産にも登録されている興福寺や奈良公園の緑が広がる、静かな環境に隣接する「登大路ホテル 奈良」は、開業15年の節目に全面改修を行い、家庭的な安らぎを感じられるオーベルジュへと一新しました。全13室というコンパクトな規模だからこそ実現した、各部屋の内装や家具等の調度品からサービスに至る心配りは、日本の古都を穏やかに過ごせるよう、丁寧に計画されています。改修にあたり、新しく作り変えるだけではなく、これまでの素材や意匠をそのまま継承したクラシカルな側面とシンプルでモダンな側面を併せ持つ、上質な空間が特徴です。

私たちは、このリニューアルプロジェクトに合わせ、全客室の家具、共有部の一部家具の製作に携わらせていただきました。本来、ホテルという環境下ではオペレーションのしやすさを重視し、経年変化や定期的なメンテナンスが必要な無垢材や天然仕上げは採用されないケースがあります。しかし、このホテルでは、ゲストが我が家に帰ってきたような温もりを感じられるよう、家具は無垢材や天然由来の仕上げを主としました。それにより他にはない豊かなホテルを創り出すことができました。

また、客室以外のワインバーのワインセラーやレストランの収納家具、サロンの書棚やクローゼットはデザイン性と使い勝手を考慮した素材や意匠を取り入れています。