Objects with an existential crisis

存在が崩壊したオブジェ。

「存在が崩壊した」という意味は、その存在を定義できないという意味を持っています。

パトリック・シアのデザインによるプロダクト。木の切り株のような形をしたオブジェには、いくつかの機能があります。その機能のひとつは、小さなテーブルとしての存在。そして、3本の脚を上にした時には小さなスツールとしての存在。あまり安定した座り心地ではありませんが。そして、何も用途を果たさないオブジェとしての存在です。そのような存在の在り方がObjects with an existential crisisという名の所以です。 パトリック・シアのデザインに対する考え方を表すオブジェだといえます。

Designer:Patrick Chia

Shoku

日本家屋の場合には客間の「床の間」という設えの場所に盆栽を飾り、掛け軸を掛け、違い棚には人形や景色に見立てた水石と呼ばれる石を置き客人をもてなしたり、季節の移ろいを愉しみます。その時に盆栽は卓の上に置かれます。中国の明の時代や韓国の李朝の時代の卓のようにとても高価な名品もありますが、私たちは現代の空間に合う盆栽の卓を作りました。

「卓」と書いてshokuと呼ぶ、盆栽や花器などを載せる台のことをそう呼びます。板状の敷板を地板と呼びます。盆栽は必ずこの卓または地板の上に置くのが作法と言われています。本来の盆栽はもっと自由だったと思いますが、時間と共に形骸化してゆくのも文化のひとつの側面であり、良い所でも悪い所でもあります。盆栽は元々、中国で生まれましたが、その後日本に渡り、江戸時代にはその美意識や形式が作り上げられて現在の姿となりました。

盆栽は室内で鑑賞するものですが、1年のほとんどを庭などの野外で過ごします。元々は野生の植物を鉢に移し替えたものなので、風雨に耐えた自然の摂理の中でなければ生き続けることができないからです。毎日水を与え、手入れをして、先の姿を想像しながら自然の造形のように剪定をし、長い時間を掛けて形を整えてゆきます。盆栽の愉しみはその美しい姿を愛でるだけではなく、愛好家たちは育てるプロセスも愉しんでいます。

Blue in Green

このテーブルをBlue in Greenと名付けました。特にBlueとGreenの色がアルミアルマイトという素材との相性が良いと感じたからです。しかし、イエローもパープルもピンクも作って見るとアルマイトとの相性が良いことが分かり、9色展開としました。‘Blue in Green’はマイルス・ディビスの曲として有名ですが、実はマイルス・ディビスではなく、ピアニストのビル・エバンスの曲だと言われています。イントロから美しくて渋いジャズの名曲です。

アルミアルマイト仕上げはアップル社などのコンピュータ系の機器やカメラなどの精密機器のパーツの仕上げに多く使われているアルミの耐食性を上げるための最終仕上げです。iPadは様々なロケーションで過酷に使われるため、高耐食性や高耐摩耗性、高硬度、電気絶縁性が必要な製品でアルミのアルマイト加工が適しています。私たちは精密機器を作るわけではありませんが、アルミアルマイト処理は通常のアルミよりも耐食性が高く、強いこともあり、アルマイト処理する工程から2次的に生まれた染料によるアルミの染色加工にとても魅力を感じ、家具として製品にしたいと考えました。アルミアルマイトの染料による染色加工はアルミの表面に色を塗装するのではなくて、藍染のようにアルミアルマイト処理によってできた多孔質層の孔(ポアー)に染料を入れて孔を塞ぐ封孔処理によってアルミそのものを染め、深みのあるアルミの表情を生み出します。

この染色加工はアルマイト処理と染料の濃度と染料への塗布時間によって、様々な色や色調を表します。アルミのアルマイト処理は希硫酸や蓚酸などの処理浴の中にアルミニウムを陽極として電気分解することにより、アルミの表面を電気化学的に酸化させて酸化アルミニウムの皮膜を精製させて、蜂の巣状に溶解する孔を作って多孔質層皮膜を形成した後に沸騰水や加圧水蒸気によって孔を封孔処理によってアルミの耐食性を向上させる技術です。多孔質皮膜の特性を利用して孔に染料を吸着させて着色するカラーアルマイトは耐食性に加えて長期に渡り美しい色を保つ美観と機能性を維持します。

川崎市の金属加工メーカーが正確に加工したアルミ製のパーツを大田区のアルマイト処理専門の工場でアルマイト加工と染色加工を施しています。アルミのパーツを電極に繋ぎ治具に取り付けて希硫酸の浴槽の中に漬け、電流を流して電気分解によってアルミの表面に酸化皮膜である立体構造のセルを成形されます。多孔質層の孔の大きさは1センチあたり10億個から700億個と言われる小さな孔で、その孔に染料が入り込み、染料の色と濃度、浸透時間の長さによってアルミの色が変わります。それは経験値と計測値の両方が必要な技術です。

この技術は1929年に日本の理化学研究所が発明した日本独自の加工技術で、約70年前から使われている日本の技術と言えます。どこか日本の染物のような深みと豊かで柔らかな表情に加えて、発色の良さと共存する優しい表情もアルマイトの魅力です。今回、私たちが目指す色を作り出すために、アルマイト処理の試作を何度も繰り返しました。アルミニウムはスチールやステンレス、ブロンズのように簡単に溶接ができないので、強度を確保する為にはボルトやリベットで固定する方法が必要です。

全体のデザインをシンプルに止め、上下のアルミの無垢板と支柱となるアルミの無垢棒をジョイント用のパーツとボルトで単純な構成で製品にしました。その単純な中にアルミアルマイトの表情が最も活きると感じています。さらに、アルミアルマイトの無垢板と無垢棒とジョイント用のボルトも同じ工程によるアルマイト染色としました。

stoneware sculpture

stoneware sculpture -磁器の彫刻- は焼物で家具が作りたいという長年の想いが実現したものです。磁器と陶器の中間である半磁器のサイドテーブルは、イギリスのストーンウェアのように鉄分の少ない非常に硬質な土が採れる島根県西部の石見地方の窯元、嶋田窯で2015年から製品として作陶し、製品化しています。「磁器の彫刻」と名付けたのは、素材の土づくりからろくろによる成形、釉薬作り、登り窯での焼成までの全工程が1人の職人の手によって行われているからです。これほど大きな焼物は硬くて重量があり、作陶するには、体力と技術力、それを支える気力と情熱、そして仕事への誇りが必要です。

島根県西部では、瓦や水甕などのように強度のある硬い焼物製品を製造し、全国に流通していた時代がありました。石見地方で採れる防湿と防塩効果に優れ空気を遮断する土は、瓦や水甕、漬物瓶などに適しており、石見は一大窯業地として栄えました。しかし、時代の変化と共に化学製品や金属製品が普及し、石州瓦や石見焼は需要が減少し、今では僅かな窯元だけで製作が行われています。

私たちが石見焼でサイドテーブルを作るきっかけとなったのは、あるひとつの小さな蓋付きの器との出会いからでした。この素朴な器の表面には細かな貫入が入り、少しだけ薄緑色の透明釉が掛けてある朴訥とした存在感が、作られた土地柄と作った人の人柄を現しているようでした。その貫入の入った薄緑色の器が忘れられずに、作られた窯元を探し、島根県江津市にある嶋田窯を訪ねたのは2015年のことです。江津市は島根県の出雲から車で3時間ほど掛かり、日本海に面していながら、どこか南国的な穏やかな気候と多くの自然が残る土地でした。島根県といえば、民芸運動でバーナード・リーチが頻繁に訪れた土地であり、今でも民芸運動の流れを汲む窯元や様々なものづくりが残されています。日本古来の土着風土を今も感じさせる素朴さに魅了されて、必然的に互いが引き寄せ合うようにstoneware sculptureが生まれました。

stoneware sculptureは69歳の1人の職人の手仕事で作られています。嶋田窯の3代目 嶋田孝之氏(昭和22年生まれ)が全ての工程を担い作陶しています。嶋田窯は壺や水甕などの大きな品物を沢山手掛けてきた窯元です。大きな壺になると高さが2メートル、直径が1メートルを越え、大物づくりには定評があります。石見焼特有の「しの作り」もしくは「玉づくり」と呼ばれる技法で、紐状に伸ばした粘土を円を描きながら積み上げ、その積み上げた粘土を轆轤を回しながら全身を使って成形してゆきます。かなりの腕力を要し、また、迷うことなく、一気に形を作り上げる熟練の技が求められます。嶋田窯には5連の登り窯があり、年に数回、この登り窯での焼成で器が生まれています。

傾斜に並んだ連続する窯の1番下に薪を焚く燃焼室があり、階段状に連続した焼成室「房」を炎が勢いよく登りながら焼成していきます。24時間体制で数日間、昼夜問わず松の木の薪をくべながら焼成室の温度を1,200~1,300℃位まで調整します。登り窯の焚き始めから窯出しまでの期間は10日間ほど掛かり、眠ることのできない日が続きます。

登り窯は熱効率がよく高温が出せるため、大物作りには欠かせないのですが、燃料となる松の木も最近ではなかなか入手が難しく、手間と時間を要するため、登り窯による焼成の回数は減少しています。しかし、嶋田窯では伝統を守り続けるためにも年間に数回は登り窯による器づくりを続けています。その時々の松の木の状態や気温や温度、そして燃焼室のどの場所に器を置くかによって、器の表情が変わります。作り手にも想像できない偶然性を持った仕上がりになるのが登り窯の最大の魅力です。唯一無二の美しさが生まれる期待の反面、窯を開けるまで中の器の様子を知ることが出来ないために、失敗するとほとんどの器は使用出来なくなるリスクも持っています。嶋田窯ではプロダクトとしての均一性と安定感を大切にする器にはガス窯での焼成も行い、登り窯とガス窯のそれぞれの魅力を生かしています。

防湿性に優れた硬い半磁器で作るサイドテーブルは、庭やテラスといった屋外での使用も可能であり、また強度が高いので長い間使い続けることができます。


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trifle

trifleはプロダクトデザイナーの北川大輔氏がデザインしたサイドテーブルです。ミラノサローネのサテライトに出展していた北川氏のtrifleは、元々ゴミ箱兼小さなテーブルとしてデザインされました。シンプルで無駄のないデザインでありながら、機能的にはサイドテーブルの用途としてのサーフェイス、そしてもうひとつの内側のサーフェイスはマガジンラックやゴミ箱の要素をサイド面に切り取ったシンプルな造形で実現させています。シンプルで簡潔なデザインによるオブジェクトとしての存在感に加えて、切り取られた開口部のスリット、そこから見える紙であるかのような薄さは、繊細且つシャープでありながらソリッドな印象を持っています。

このサイドテーブルの筒型の本体は、扇型にカットされたスチールプレートを曲げ、その両端を突き付けて溶接しています。さらにスチールの筒に絞り加工を加え、正確な円錐形とする2次加工が施されています。天板と底板のスチールの正円の板を本体の内側から溶接することで、溶接点が表に現れないように配慮されています。このスチールの曲げ加工の精度と絞り型による成型によって精度の高いプロダクトとなりました。

最後に、塗装職人の手吹きの技術が、マットな肌合いを表面から内側まで丁寧に正確に仕上げています。実は、色ムラなく、滑らかに内部を手吹きで塗装することは大変難しい技術でもあります。デザイナーの北川氏を中心にして、金属加工の職人と塗装職人のものづくりチームのリレーションによってこのtrifleが作られています。

Designer:Daisuke Kitagawa

Fragile

家具としてあってはならない言葉である「Fragile」。ソファの傍らやソファの座面に差し込んで使用するためのサイドテーブルとして作りました。天板・地板・細く円弧に削られた2本の柱によって構成された、片持ち構造となっています。天板と地板のラウンドした無垢材のフレームは無垢材を削り出して製作しています。

このサイドテーブルは普段はサイドテーブルを作らない椅子工場で製作しています。その理由は、強度と安定性を最も重要視したからです。椅子は体重の重い人が毎日座ってもその荷重に長期間耐えられるように、構造的に計算され、作られています。また、椅子の組立方法は他の家具と比較しても数段に高い強度を持たせています。その椅子の強度の保ち方をこのサイドテーブルにも応用したのです。もちろん、椅子としては使用できませんが、サイドテーブルとしての強度と安定感を細い2本の支柱と上下の重さのある天板と地板で構成することで、長期使用に耐えられる作りにしています。支柱が片側に寄っているので一見すると不安定に見えますが、椅子製作の技術の転用によって相当な強度と安定感を確保しています。

ラウンドした意匠は場所や周辺のスタイルを選びません。また、ソファの座面に差し込むように使用することで、ソファとサイドテーブルに一体感が生まれ、機能性と木質感がユニークな雰囲気を作り出します。高さは2種類用意し、低い方はサイドテーブルとして、高い方はテーブルサイドとして使用したり、花を置く台として使用でき、空間の中の小さなテーブルとして使用していただきたいと思います。不安定というイメージからだけではなく、Stingの有名なFragileという曲のイメージをこのサイドテーブルにも重ねたいと思い名付けました。

Transformation

Transformationは日本的な考え方を意識してデザインしています。ひとつのエレメントにもうひとつのエレメントを重ねることで成立するものの在り方です。このふたつのエレメントを合わせると私たちが基本としているひとつの塊である立方体になります。最もコンパクトなこの状態はふたつのエレメントがピッタリと重なり合った状態を原型としてひとつの固体と考えます。そして、このふたつのエレメントが分かれていく過程で様々なフォーメーションや自由な形に変化していきます。元々はひとつであった固体がふたつに分離していくことで、原型を留めながらも、拡張してゆく機能性がこのTransformationの形式としての魅力だと考えています。

ふたつの大きな引き出しが付いたキャビネットのようなベースの四角い箱のエレメントに、その箱の長手方向に伸びたL型の厚い天板が載る構造となっています。固定されていない天板はピッタリと下部の立方体のキャビネットと合わさっていますが、L型の天板を自由な位置へスライドさせて長さを伸ばしていくことができます。その天板をスライドさせると、ベースとなるキャビネットの天板部分がもうひとつ低いレイヤーとして現れます。このスライドする動きによってテーブル面は自在に長さと形状を変えていくことができます。

ベースのキャビネットに対して天板を直角、もしくは角度を変えて載せることで、どのような形のソファにもレイアウトが可能になります。シンプルな構成の中で、自由に形とサイズを変えることができることが魅力のひとつであり、またコンパクトにした時には、ひとつの塊の固体として完結することが大切だと考えています。

このテーブルはセンターテーブルの他に、サイドボードやキャビネットとしての使用も魅力的な用途です。壁沿いに設置する場合、壁の大きさによって天板を横にスライドさせることでワイド方向のサイズを自由に変化させることができるため、許容範囲内であれば壁間にピッタリと隙間なく納めることができます。また、リビングボードやテレビ用のキャビネットとして使用することもでき、テレビサイズによって全体のワイドを調節して治まりの良いサイズに調整することが可能なのです。

キャビネット部分はComposition cabinetの仕様に倣い、薄い繊細な木口面にしています。また、ウォームホワイトやライトグレーなどの鏡面仕上げの中間色は、全体の形により一体感を持たせながら、スライドした時の動きの中にも柔らかな印象を空間に生み出します。

September

2枚の厚い板を片側で繋いだコの字型の形状が一体感を生み出します。その2枚の板とその隙間それぞれのレイヤーに機能性を持たせました。トップのレイヤーはテーブルトップとして、その下の隙間は本や雑誌などを入れるレイヤーとして機能します。また、床との設置面との隙間はこのローテーブルが浮いたような感覚を与える効果を生んでいます。

片側から見ると立方体のような塊に見えます。立方体は私たちが考える家具や道具の形状として最も基本になります。立方体の水平なトップ面はテーブルトップとして使用でき、隙間を開ければ収納部分となり、ドロワーを付ければキャビネットへと変化するのが立方体です。建築も箱という立方体が基本の形状となっています。そして、立方体の箱の内部に、如何にして効率的に家具を配置してゆくべきかという基本の考えを常に持っています。

日本には昔から「入れ子箱」という箱の中に何重にも箱が入っている道具があります。それは使用する時はそれぞれの箱を取り出して、食物などを入れて遠くまで運びます。用事が終わったら箱をひとつにまとめてコンパクトにし、労力を軽減していたのです。そのように道具に対しても立方体という形の効率的な活用方法が昔からありました。住宅という箱の中でも効率的な考え方が備わっているのが日本の住まいの基本です。

Septemberは天板下のスリットに雑誌や本などを見せながら置いておくことができます。板と板との隙間に沢山の雑誌や本が入り一見雑然とした景色をも美しく見せてくれると思います。Septemberは少し男性的な硬い形をしていますが、仕上げにベージュやライトグレーなどの中間色の鏡面仕上げを施すことで、簡素でモダンな佇まいの中に柔らかで女性的なニュアンスにもなります。

floating water table

横に広がる天板と木製の棚板がスチールフレームと組み合わせられたローテーブルです。天板は額縁のようにフレームを僅かに立ち上げ、天板面にはカラーフィルム貼りのガラスを落とし込んでいます。縁取られたガラスは湖面のように周辺の光景や天井の景色をフラットに映し出し、湖水の深い奥行を感じさせます。それはまるで空中に浮かんでいるようにも見えます。立ち上がったフレームは天板からモノが落ちないように、こぼれ止め機能も備えています。細いスチールのフレームは、出来るだけシンプルに目立たないように構成しています。

縦軸の丸パイプと横軸の角パイプを溶接してテーブルトップがそのフレームに載るような仕様として、下部の棚板はスチールパイプの内側に収まるように配置し、天板と棚板の2枚のレイヤーの関係性を強調するようにスチールパイプの存在感を消しています。また、天板に落とし込むガラスはブラックとホワイトを用意しました。ウォールナット材の木部にはブラックもホワイトもどちらも違った表情が生まれ、それぞれの色で空間のイメージが一変します。スチールパイプのクロームメッキのシルバーとテーブルトップのガラス、そして木部の素材感はシンプルでモダンな空間を作ります。また、組み合わせるソファのデザインを選ばないニュートラルなデザインのテーブルです。

Lotus rain

丸い天板の縁に立ち上がるリムを持ったテーブルです。フラットな無垢板の天板を、縁となるリムを残して内側を削り出しています。一体となった無垢材のリムと天板は、テーブルの内側から緩やかな小さなカーブを描き、繊細なリムの立ち上がりを作っています。

表面の美しい滑らかなカーブの仕上げは、職人による丁寧な研磨がとても重要になってきます。まさに、池に浮かぶ蓮の葉のような、存在感のある丸天板の形を活かしたテーブルを作りました。静かな佇まいの中に蓮の葉のように雨のしずくを受け止める情景を思い描きました。このテーブルが存在することで、空間の静寂な中に凝縮した佇まいが生まれます。そこに集う人々の心を受け止め、留められるような、そんな存在感と意味を持ったテーブルを作りたいと思いました。

Lotus rainは脚とラウンドした貫が一体となって繋がっています。その脚と天板全体を支持するラウンドした貫も無垢材を削り出して製作しています。ベースとなる4本の脚と貫の上に、蓮の葉に見立てたリム付きの無垢板の天板が載っています。

Lotus moon

Lotus moonは天板の縁にお皿やトレーのように繊細に立ち上がるリムを持たせた、大きな蓮の葉を思わせるテーブルです。このリムは、無垢の天板の内側を削り出し、滑らかに研磨することで、自然な立ち上がりが出来ています。リムを作り出すために多くの時間を掛け、最後に手作業で表面を細かに仕上げています。日本では昔から、箱膳や御膳といった1人用の小さなテーブルを使って食事をする習慣がありました。その御膳にはお盆やトレーのような「こぼれ留め」という立ち上がりがありました。

大きなテーブルの天板を蓮の葉に見立て、日本の昔ながらの御膳のような存在感を生み出したかったのです。蓮の葉は社寺仏閣の仏像が座す神聖さの象徴ともなっています。空間の中に大きなリムに囲まれたテーブルは独特の存在感を醸し出します。4本の脚と脚を繋ぐ貫が四方を囲み、その台座の上に僅かな隙間を持たせて大きなリムのある天板が載ることで、強度的にも安定感を増します。社寺仏閣の境内にある池の中に浮かぶ、小さな蓮の葉の情景を見立てたLotus moonテーブルです。

Lotus table

私たちの製品は「静かな佇まい」を信条としてきました。しかし、時には自分たちの信条からはみ出してみたくなる時もあります。このテーブルは天板を縁取り、蓮の葉を思わせるデザインとしました。縁取りを作り出すために、平滑な天板の外側を残して天板面を削り込み、外側に向かって僅かに立ち上がるように製作しています。その姿は、社寺仏閣の池に浮かぶ蓮の葉のような、日本的な存在感を持っています。テーブルの脚はできるだけその存在感を消すように飛行機の翼のような流線形とし、中心部に膨らみを持たせながら小口面は1本の線となるように仕上げました。

私たちが考える家具の基本的な在り方は、床、壁、天井といった空間を形づくるものに続く必然的なエレメントであるということです。生活のベースとなる家具は、生活空間の質を変えるものであり、かつ空間に静かに同化して自然に佇むことができるものでなければなりません。そんな私たち独自の定義に、静かな動きを持たせてみたいと思いました。その動きの中には、しっかりとした物理的且つ機能的な要素としてのデザインを持たせることが必要な条件だと考えます。アイデアもひとつのデザイン要素ではあるものの、表層的な表現や即興的な面白い機能的アイデアだけでは、日々使い続けることができるデザインと品質両面の耐久力を持ち得ません。

表面的なアイデアのデザインはすぐに世の中の人々が答えを出してゆきます。私たちは長い時間に耐えられる製品を作りたいと思っています。それはモノを生み出す者の使命であり、素材への敬意であり、使い手に対して真っ当な表現方法だと考えています。日本で作られてきたモノは素材を大切に扱いながら、その素材が機能的且つ長期的に使用できるように作られています。また、万が一壊れても修理して再生し、また使用できるように素材の使い方を工夫してきました。旭川の自社工場では、こういったことを前提として、それまでとは少し違ったデザインアプローチで試作を繰り返し、このテーブルを完成させました。

Horizontal table

このテーブルは立方体をそのまま活かしたテーブルです。脚は垂直に天板まで突き抜けており、脚の一部も天板のフレームとなり、脚を繋ぐ貫も天板のフレームになる構造で出来ている、とてもシンプルな形状のテーブルです。無垢材の脚や貫で縁取られた天板のフレームは、テーブル全体を引き締めるフレーム効果をもたらしています。天板がフレームの内側に落とし込まれたデザインのため、ガラス天板は、大地に広がる湖のような表現にしました。ガラス天板の他に、厚突板を落とし込み、固定した木天板タイプも揃えました。

私たちは、立方体(キューブ)を製品の在り方のベースとして考えています。モノの基本はこの立方体と球形にあり、どのような製品にも共通する出発点が立方体にあると考えています。地球や月が丸いのには理由があります。また構造物である家や箱は最も単純な立方体によって出来ており、大きな構造物もこの立方体の構成によって出来ています。一方、人間や動物、植物の形態はとても複雑です。人間の体の中を張り巡らされている血管には血液が淀みなく流れる構成と機能が備わっています。そして、人間の体はどのように動かしても不都合がないように出来ています。これは自然界の魔法としか言いようがありません。

このように自然界は長い時間を掛けて必然的なフォルムを持つようになりました。私たちはこの生物や物体を構成する基本要素を学ぶ必要があると思います。そうすることで、これからの生活に馴染むモノの形や在り方が見い出せるのではないかと思います。

ローテーブルにはドロワーを設け、機能性とシンプルな意匠を損なわないように製作しています。

このテーブルは最もキュービックでシンプルな形状をしていますが、タイム アンド スタイルの考え方を最も的確に表現したテーブルといえます。また、長く使い続けても飽きることのない簡潔な形状と素材の構成は、どのようなシーンの中でも様々な表情へと変化します。単純な造形であればあるほど脚の太さと天板の厚みや椅子との相性が問わるからこそ、部材のサイズやバランスは最も注意を払いました。シンプルな意匠ほど細やかなバランスの保ち方が製品の佇まいに大きく影響してきます。シンプルなテーブルにも重要なディテールが存在しています。そこがとても重要な要素となってきます。

A table in the silent forest

このテーブルは、存在感を消し去るような静かな佇まいを特徴として設計しました。テーブルとしての要素は最も簡潔な構成で組み立てています。1枚の天板と2枚の脚、そして2枚の脚を繋ぐ貫の4つのシンプルなパーツで出来ています。しかし、そのそれぞれのパーツのデザインと仕上げにこだわりました。

単純な構成で製品を作ることはプリミティブなだけで、洗練された表情にはならないからです。テーブルの存在感を消しながら個性と洗練を宿らせることを、日本では静動感といいます。静寂と躍動が同居する言葉です。

日本の工芸品である刀や漆、螺鈿などから社寺仏閣の佇まいに内在する静動感は日本独自の美意識であり、日本人が目指したものづくりの神髄でもあります。神社のように静かにそこに存在しながら、自然の風雨にも耐える白木で作られた神殿の神聖さ。そのような佇まいを持つ静かなテーブルの在り方を模索しました。

Mingle low table (NEW)

奈良時代より日本には大陸から様々な文化が伝来し、長い時間の中で独自の変化を遂げてきました。このMingleシリーズは、王朝時代の調度品として献上された家具の意匠を踏襲しています。東洋の歴史的背景と混ざり合い、日本の木工技術によって現代の生活空間と融合する形を見出しました。

Mingle console (NEW)

奈良時代より日本には大陸から様々な文化が伝来し、長い時間の中で独自の変化を遂げてきました。このMingleシリーズは、王朝時代の調度品として献上された家具の意匠を踏襲しています。東洋の歴史的背景と混ざり合い、日本の木工技術によって現代の生活空間と融合する形を見出しました。

Priest’s side table (NEW)

富山県高岡市の伝統工芸であるブロンズ鋳込みで製作したサイドテーブルです。
別々に鋳造された天板と底板は支柱と滑らかに繋がるように接合した後、溶接跡を
消すために磨き仕上げを施しています。

納期はお問い合わせください。

Monk’s side table (NEW)

Monk’s side tableは、ブロンズでできた天板、支柱、ベースという簡潔な3つのパーツを繋げ、一つの塊となるように構成したテーブルです。サイドテーブルでありながら、重厚な素材とシームレスなフォルムがオブジェのように存在します。日本の鋳物技術を使い、自由で繊細な造形美を家具づくりに生かしました。

納期はお問い合わせください。

Zen (NEW)

奈良時代より、一人分の飯と汁、菜を椀や皿に盛って一人ひとりの膳に配る「銘々膳」という給仕方法があり、昭和初期までその作法で食事をしていました。一つの部屋を、昼間は居間や食堂として、夜は寝室として多目的に使う暮らし方をしていた日本人にとって、膳に脚をつけた簡易的な家具は、軽くて移動しやすく、日本の生活文化に即したものでした。

また、膳はその言葉から推測でき、盆の形状からも茶道具と深い関係があったことが伺えます。茶道具の中に盃台(さかずきだい)という非常に美しく端正な姿をした酒器があります。それは酒器として美しいだけでなく、洗練された日本の形でもあります。茶人の千利休も盃台を考案していますが、緩やかなカーブや僅かな傾斜のついた台座は見事に調和が取れています。

私たちは新しい形をデザインするのではなく、すでにある日本の美しい形を現代の空間と調和するように捉え直していくことが大切だと考えます。

美しい盃台の形状や構造を家具へと転換するために、日本の伝統工芸であり、日本の生活に根差したプロダクトである桶の工法を採用しました。桶は檜やサワラ、杉などの針葉樹で作られていて、広葉樹とは異なる優しい手触りと木肌の温かみがあります。Zenは吉野杉の本柾で桶を作っている職人との出会いによって、桶の工法を家具に昇華させることが出来ました。本柾と言われる材は、木の一番外側を手加工でバウムクーヘン状に製材しています。建築材でも本柾はありますが、ここまで木目がまっすぐで白い杉材は、機械製材している建築材には存在しません。職人との対話を重ね、木肌の美しい、本柾の日本の家具が誕生しました。

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Shrine (NEW)

神社建築の一つに、檜や杉の針葉樹の柱を土に立て、梁や貫を柱に通す神明造と言う様式があります。その代表が伊勢神宮です。伊勢神宮は、樹木が繁る広大な敷地に多数の社が点在し、2000年に渡る歴史が受け継がれています。

神宮の森に点在する大小様々な社に見立てたローテーブルを作りました。社の屋根のように、天板の小口面に傾斜を付け、直線的な軒をイメージしました。そして屋根を支える柱のように、天板の四隅を円柱が支え、その円柱を貫が通る強固な構造としました。大小様々なテーブルが水平に重なる存在感は、神宮の森の社殿の情景を空間の中で表現しています。装飾をそぎ落としたシンプルな意匠が、清楚な雰囲気を作り出します。

Za (NEW)

床に座る文化を持つ日本では、かつて御膳に一人ひとりの食器を載せて食事をしていました。現代でも床に座って寛ぐ習慣はあり、傍らのZaに飲み物や読みかけの本などを置くサイドテーブルとして製作しました。「こぼれ止め」としての玉縁が細く施されている、控えめな佇まいとなっていますが、脚や天板の接合部は精度が求められる木工技術が凝縮しています。出来るだけ装飾を抑え、気軽に移動できる小ぶりなサイズ感が、使い勝手のよい生活の中の道具となることをイメージしました。

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