半世紀以上に渡って地域住民に愛され続けている産婦人科医院が、隈研吾氏によってリニューアルされました。「家としての病院」を感じられるようにデザインされたファサードの木製のルーバーは、閑静な住宅地に静かに溶け込んでいます。これまでの病院建築の多くは無機質な印象を持っていましたが、この医院は無垢のフローリングや漆喰の壁などの天然素材を用いることで、人に温かく、居心地の良い空間になっています。
待合室のチェアには、妊婦の方の身体に負担が掛からないチェアが必要でした。隈氏とタイムアンドスタイルが共同開発・商品化したNCチェアをデザインソースとし、この医院のためにディテールを検証しました。
限られたスペースに多くのチェアを配する必要があったので、肘掛けは両アームではなく片側アームとしました。また、背と座面のシート角度はNCチェアよりも大きくし、座面前に向かって緩やかな傾斜をつけ、お腹の大きな妊婦の方が長時間座っても負担の少ない座り心地を実現させました。
外観はオリジナルのNCチェアと大きく異なりませんが、試作を繰り返し、産婦人科医院にふさわしいチェアが完成しました。チェアの張地は汚れに強く、病院での環境下でも耐えられるクリプトンのファブリックを採用。
家具、天然素材の内装材、そして中庭の植栽が相まって、来院者がリラックスできる空間になりました。