建築家やデザイナーとのものづくりは、私たちに新しい視点と価値観を与えてくれます。彼らが手掛けた建築プロジェクトのためにデザインされたものからデザインの進化によって生まれた家具が完成しました。建築空間を捉える彼らによって考えられたプロダクトが、新しい環境を創造します。
ミラノデザインウィークでは、隈研吾、ピーター・ズントー、クラーソン・コイヴィスト・ルーネ、そしてドリルデザインによる新しいプロダクトを発表します。
隈 研吾
4月17日(月)17:00 – 17:40
Claesson Koivisto Rune
4月17日(月)18:00 – 18:40
DRILL DESIGN & 葵・フーバー・河野
4月18日(火)17:00 – 17:40
4月19日(水)17:00 – 18:00
at Time & Style Milan
Via Eugenio Balzan, 4, Largo Claudio Treves, 2, Via San Marco, 13, 20121 Milan, Italy.
Tel:+39 02 49658 560
「カクカク」という言葉遊びからイメージを膨らませた KA ソファ。フラットな座面は水平線のように広がり、三角形の背もたれは山脈のように連なり、まるで自然の風景の一部のように存在します。
苔から発想を得たオリジナルテキスタイルを開発しました。数種類の実物の苔を用意して、表面の起伏を3Dスキャナーで取り込んでデータ化し、ホールガーメント式という筒状に立体的に編み込みました。日本的なモチーフを起点に新しいテクスチャーが生まれ、豊かな表情と手触りを持つ日本製のテキスタイルへの挑戦です。このテキスタイルは表面に凹凸があって、まっすぐに裁断することが難しく自動裁断機が使えないので、全て手作業で裁断が行われます。さらに、KAの直線的なアウトラインを表現した生地の張り込みは難しさを極め、職人たちの技術が集結したソファです。
1954年生まれ。1990年、隈研吾建築都市設計事務所設立。慶應義塾大学教授、東京大学教授を経て、現在、東京大学特別教授・名誉教授。30を超える国々でプロジェクトが進行中。自然と技術と人間の新しい関係を切り開く建築を提案している。
スイスの渓谷ヴァルスの石材を何層にも積み上げて作られた温泉施設「テルメ・ヴァルス」のためにデザインされたシェーズロングです。
等間隔に並べられた木の積層材のフレームは、人の体に馴染むように柔らかなカーブを描き、細身の金属脚は木のフレームを軽やかに持ち上げています。
オリジナルのフレームは木の積層材を使っていますが、日本で製品化するにあたり、日本の伝統的な無垢材の曲木技術を用いました。
無垢材を高温で蒸してから金属の型に合わせて曲げる曲木加工は、100年前から現在に至るまで変わらずに手作業で行われています。
木を無駄にしないこの技術は、現代の社会においてさらに重要な製法となっています。高温の窯で蒸された木は5分ほどで硬くなるので、
熟練の職人たちが息を合わせながら素早く金属の型にはめていきます。無垢の木材を使用することで、メンテナンスをしながら長く、
大切に使い続けられるプロダクトになります。
1943年、スイスのバーゼルで家具職人の息子として生まれる。1958年から1962年まで家具職人としての訓練を受け、1963年から67年までニューヨークのプラットインスティテュートでデザインを学ぶ。1967年にグラウビュンデン州(スイス)の歴史的建造物保存局の建築家を務め、1979年にスイスのハルデンシュタインで自身の設計事務所を設立し、現在に至る。
タイムアンドスタイルは、ピーター・ズントーにとって世界初となる家具コレクション「Peter Zumthor collection」を2022年に発表。
K5 Tokyoは、ストックホルムを拠点に活動するクラーソン・コイヴィスト・ルーネがインテリアデザインを手掛けたホテルです。東京の歴史的建造物をリノベーションしたこの施設には、ホテルとレストランのほか、ワインバーやコーヒーショップなどが集まる独創的な空間です。
K5 Tokyoのためにデザインし、この空間のアイコンとも言える照明を、各種サイズを取り揃えて製品化しました。その中でも、直径120センチという大きなサイズは、職人たちにとっても挑戦であり、試作を重ねて完成しました。
Drop Paper Lampは、堅牢で質実剛健な提灯づくりで知られる茨城の水府提灯の技術を生かしました。骨組みとなるひごには和紙を巻いたペット樹脂を採用し、繊細なしずくの形を作り出しています。シェードには約1500年の歴史をもつ越前和紙を選定しました。繊維が太くて長い楮を原料としているので、丈夫であり、温かみのある色合いが特徴です。越前和紙は大判を得意とし、襖や屏風のような大きな建具に継ぎ目なく貼ることができます。
1995年にMårten Claesson、Eero Koivisto、Ola Runeの 3人により結成されたスウェーデンのデザインユニット。手がけるプロジェクトは、建築から家具、食器などの日用品、テキスタイルなど多岐に渡り、その創造性に富んだデザインは国際的に非常に高い評価を得ている。日本での活動も盛んで、数多くのプロジェクトを生み出している。タイムアンドスタイルとは、彼らの日本への敬意と20年に渡る対話を通して、デザインの思想を共有してきた。
10年以上に渡ってウィンザーチェアの研究を続けているドリルデザインが、ウィンザーチェアのデザインを発展させ、エレガントで力強い存在感を持つラウンジチェアを設計しました。クラッシックとモダン、安心感と緊張感という相反する要素を融合させて、新しい姿が導き出されました。
背もたれの8本のスポークが、背中から腰を快適に支えるように構築されています。そして、この交差するスポークから現れるひし形パターンがこのチェアの特徴であり、名前の由来にもなっています。座面が無垢材で作られている伝統的なウィンザーチェアは、時間とともに座面が反ってくることがありますが、このチェアは、座面を枠組み構造とファブリック張りにすることで反りを解決しました。さらに、長時間座っていても疲れにくい快適性と容易に移動できる軽量化ももたらしています。
背からアームにかけて流れるように繋がるフレームは、コンティニュアスアームと言われ、ウィンザーチェアの形式の一つです。日本の高度な曲木技術で無垢材から作り出したラインです。
林裕輔と安西葉子により2001年に設立されたデザインスタジオ。プロダクトデザインを中心に、空間、グラフィック、マテリアルなど、カテゴリーを超えてデザインとディレクションを行う。これまでにMUJI、Camper、CRASSEVIGなど国内外のパートナーにデザインを提供し、東京、シンガポール、ミラノ、パリ、ストックホルムなどの都市で展覧会に出品している。
タイムアンドスタイルとドリルデザインがこれまで手掛けたチェア4シリーズは、ウィンザーチェアの概念を受け継ぎながら、新鮮な存在感をもっている。