Hazakake

Designed by Hisanobu Tsujimura

かつて日本人の暮らしは、柱と屋根を基本構造とする壁の無い軸組の建物に御簾(みす)や蔀戸(しとみど)などを立てて空間を仕切る可変的なものでした。日本的空間原理の本質は、この「仕切り」に対する感覚にも表れています。日本人にとっての仕切りには「認識の仕切り」と「明示的な仕切り」の二つがあります。工業化された近代以降は、壁などの「明示的な仕切り」でなければならなくなっていますが、もともとの日本人の感覚では空間に「線を一本引いた」ものも立派な仕切りでした。空間においても、自分の認識によって自在に「仕切り」をつくったり消したりしていたのです。舞台における黒衣(くろご)の存在は、日本人にとっては「ないもの」として認識できますが、欧米人には「不思議な黒い衣裳を着た人」として「あるもの」に認識されます。

Hazakake は日本の秋の稲刈りの風景を表現した竹の衝立ですが、「認識的な仕切り」と「明示的な仕切り」を合わせ持った空間における標の様な家具です。

Materials

晒竹
組紐(赤)
染煤竹
組紐(象牙色)

木地

鉄水黒