Object next to the object that does nothing, Object that does nothing

何もしないオブジェ。

何もしないオブジェのとなりの何もしないオブジェ。

1998年、ミラノサローネのサテリテでパトリック・シアと出逢いました。私たちはエイチ.デザインアソシエイツの黒川勉氏と片山正通氏のデザインしたプロダクトをサローネサテリテで発表していました。同じ会場でパトリックも自分の手で製作したプロダクトのプロトタイプを発表しており、会場内では群を抜いて素晴らしく、完成度の高いデザインで注目されていました。既にパトリックのプロダクトは、フィリップ・スタルクがデザインしたモンドリアン・ホテルのメインオブジェとして、フロアやバーカウンターに置かれているほどでした。その時からパトリックと私たちの関係が始まりました。

パトリックのデザインは全て自分の手で原型が生み出されます。スケッチを元に、自分の手と体を動かしながら原型となるスタイロフォームとグラスファイバーを彫刻のように削り、有機的な面の感触を手で感じ取りながら形を整えていきます。流れるように作業するその姿は、オブジェが持つ有機的で美しい存在感とパトリック自身の製作する動きのある姿とクロスオーバーするかのようです。そのように生み出された作品は、一般的なプロダクトとしての機能性を持たず、彫刻作品のように見えます。しかし、これがパトリックの考える機能性を有するプロダクトだと彼は言います。このオブジェは座ることもできなければ、光を放つこともしません。ただそこに存在するだけのオブジェなのです。それがパトリック・シアのプロダクトの根本を成す、プロダクトに対する哲学なのです。オブジェが存在することで、そこにパトリック独自の空間を作り出します。人々はそのオブジェを意識しません。にもかかわらず、そのオブジェの存在が発する何かによって、その場にコミュニケーションが生まれます。

ある人はそのオブジェを美しい彫刻作品と考えます。また、ある人は機能性を持った照明器具や音響器具だと想像します。しかし、その考えは全て裏切られてしまうのです。そこから人々に繋がりが生まれ、人々の中に新しい関係性が発生する、そんな一面もこのオブジェが持つ、ひとつのプロダクトとしての機能性だと考えることができます。プロダクトの機能性の新しい概念。では、彫刻作品と同じではないかという疑問も生まれてきます。しかし、このオブジェは型によるリピート生産が可能であり、芸術作品とは一線を画します。故に、誰でも気軽に、自分の空間にこのオブジェを所有することができるのです。

品番: PC-0025 / PC-0026
サイズ: W350×D570×H460 / W510×D570×H1300
本体:
FRP – マットホワイト
ベース:
ステンレス
Designer:Patrick Chia

art / objects / bonsais