Nancy

このテーブルのアウトラインは製作当初から変わっていません。もちろんエッジの効いた過去の製品を懐かし く思う気持ちもあります。しかし、人々が日々触れるテーブルを優しいカーブに変えることによって、シンプルな 構成と静かな佇まいの中に、新しい動きのあるテーブルが誕生しました。毎日の生活の中で、人々が自分の手 で触りながら育ててゆき、経年変化を楽しみ、自然の木の触感を味わえる製品にしたいと考えています。

時期は定かではありませんが、初めてこの Nancy を製作したのは今から16 年程前の頃だったと記憶していま す。このダイニングテーブルは 4 本脚のテーブルとしては最もシンプルな形状で、天板から自然に伸びる脚は動 物の脚のように脚先に掛けて次第に細くなる、とてもスマートな印象を持つテーブルです。発表から 2011年までの10年間は仕様変更をせず、アウトラインは平面で構成され、それぞれの面は鋭いエッジを持つ立方体で、 そのエッジラインは緊張感を生み出していました。4 本の脚と脚を繋ぐフレームが本体を構造的に構成し、天板はガラス板を落とし込んだ仕様のものと突板の天板のものとの 2 種類が用意されていました。

2011 年に、製品の特徴であるアウトラインを保ちながら、手触りや全体の佇まいに柔らかさを同居させるため、 エッジを削り落とすというデザイン変更を行いました。このテーブルに関しては、従来のエッジラインの緊張感 が私たちを象徴するような製品であったため、従来の緊張感と新たな柔らかさを同居させることができるかどうかに腐心しました 。特徴を落とすことは、即ち緊張感という特徴を削り落とすことになるという考えから、なかなか答えが見い出せずにいました。しかし、手を使い、実際に木を削りながらエッジを落とし、 手触り感を確認しながら作業を進めて行く中で、大きな発見に辿り着きました。私たちが自分たちに課してきた シャープで緊張感のある佇まいは、鋭いエッジを削ることでは失われず、有機的な線の繋がりの中にもエッジに 相当する緊張感とシャープな佇まいを宿らせることができるという発見でした。

しかし、全てのエッジを削り落 とし柔らかな曲面にしただけでは、洗練された佇まいになりません。削り落とした丸いエッジコーナーが自然なラインで繋がって生まれる緊張感のある曲面でしか、鋭さと柔らかさを内包させることはできませんでした。 私たちの製品は製品そのものが主役ではありません。住空間を構成するためには、テーブルには椅子が必要 です。そしてそのテーブルの上で営まれる日々の食事で使うお皿やグラスなどの食器類も含めて、全てが繋がっ てこそ存在に意味を成します。単体で如何に表現力を持っても、生活の多くの場面ではその特徴が邪魔になる 場合もあります。リビングもまたソファやセンターテーブルなどが繋がって生活空間が形成されることを考えながら、エレメントとなるひとつひとつの製品を作りつつ、モノ同士の繋がりを基本的な概念として常に念頭に置 いています。

品番: T-516W, G / T-517W, G / T-518W, G / T-519W, G
サイズ: W450 〜 1400×D450 〜 1100×H355, 450
フレーム:
天板:
木天板 / フロストガラス