Long

Longは中国の明時代の椅子をモチーフにして製作しました。ハンス・J・ウェグナーなどの家具デザイナーが生み出した椅子にも明時代の源流を辿ることができるように、現代の椅子の多くがこの時代のデザインに影響を受けています。中国の明時代に作られた椅子は、椅子としての造形の基本であり、世界の椅子のデザインに強い影響を与えているのです。

2012年に中国・上海にタイムアンドスタイルのショールームをオープンしました。この時の中国は歴史的背景の問題によって対日感情が良好ではない時期で、そのタイミングでショールームを開設することへの大きな不安がありました。しかし、私たちのパートナーの中国人は日本に対してとても友好的であり、また、両国間に横たわる問題を感じさせない方でした。日本の文化は中国や韓国から伝来し、その後日本独自の発展を遂げたものが多く、私たちの文化や宗教など生活の多くのことが中国に起源を持ちます。日本から中国の方に製品を提案する上で、こういった文化背景を持つ日本人が明朝スタイルの椅子をデザインすることによって、お互いの共通言語となるような製品を作りたいと思いました。それは、北欧デザインとは異なる日本的なアプローチで明朝スタイルの椅子をデザインする試みです。日本文化の簡潔性と完結性をコンセプトとして、明朝のアウトラインを生かしながら、それぞれの部材に繋がりを持たせる意匠を固めました。両国間の政治的な問題を越えた、双方の文化が融合するような椅子を作りたいという思いから誕生した椅子です。

脚の丸棒は垂直に立ち上がり、その頂点でアームと結合します。その接合部は明確な角度がありながらも線の繋がりを持たせました。アームは外側から内側に僅かに湾曲し、そこからまた外側に広がる円弧を描いて背もたれに繋がります。アームから背もたれの抑揚の在り方は明朝時代の意匠を最も意識したものです。しかし、柔らかいラインの中にも繋がりと緊張感を持たせるために、一筆書きのような、アームから背もたれの滑らかなラインの流れから前脚へ繋がるデザインを大切しています。また後脚は足元から立ち上がって座枠に接合されて、緩やかにカーブしながらアームに自然な流れで到達します。木の枝のように、上に向かって広がりながらアームに馴染むように接合しました。この全ての部材の自然な繋がりによる完結性こそ、私たちが目指した日本人が作る明朝の椅子です。

品番: I-252
サイズ: W588×D624×H790×SH440×AH605
フレーム:
オーク – ビーズワックス / ブラック / チャコールグレー / スノーホワイト / ダークウェンジ
ウォールナット – ビーズワックス
座:
ファブリック張り(F) / レザー張り(L)