アームから立ち上がるソファ本体の稜線が有機的なラインを描き、そのまま背もたれに回り込み1本の曲線で全体の意匠が完結するソファです。アームと背もたれにふくよかなボリューム感とアームから背もたれに繋がる1本のラインに緊張感を持たせることで、繊細でシャープな佇まいを共存させました。
ソファ内側のアームと背もたれとの接点は、高い技術力と経験値によって縫製の皺を出さずに美しい膨らみを作り、フラットな外側の意匠とは対照的な妖艶な存在感を放っています。脚は、無垢材を削り出した木脚タイプとアルミの鋳物脚との2つから選べますが、脚の存在感によって全体の意匠性をモダンな印象にも、落ち着いたクラシックな印象にもできる多様性を持っています。
広島県福山市にあるソファ工場とは今から22年程前の先代の頃から一緒にソファづくりをしており、共に過ごした長い時間によってものづくりが支えられています。私たちがオリジナルプロダクトを始めた時からこの工場とは様々なソファ開発に取り組んできました。
当時はまだモダンな意匠のソファがあまり作られておらず、次々に新しい製品の開発に取り組みながらお互いの技量を高め合ってきました。私たちの製品は自社工場だけでなく、日本全国の多くの工場や職人たちとの共同作業によって支えられています。
長い時間を掛けて作り上げてきた製品には、それまでの時間の蓄積が宿っています。日本の隅々にまで息づいているものづくりの神髄は、製品の細部にまで神経が注がれていることにあります。このような美意識の高い国でもの作りができることは幸せなことであり、これからの大きな可能性でもあります。